相続診断士の部屋

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No.7 注目の任意後見制度について解説します

相続診断士・ファイナンシャルプランナーの佐藤です。業務に追われて少し間があいてしまいましたが、7回目の今回は、最近注目されております「任意後継制度」についてお話しさせていただきます。

 

<任意後見制度の概要>

任意後見制度は、成年後見制度の一つで、対象者が未だ十分な判断能力があるうちに、将来認知症などで判断能力が不十分になる場合に備えて、あらかじめ本人自身が選んだ代理人(任意後見人)に、将来の自分の生活や財産管理などについて、代理権を与える制度です。任意後見人の資格には、法律上の制限はなく、法人を後見人に選任することも、複数の後見人を立てることも可能です。

契約は、契約書に公的な信用力と強制力を持たせるため、公正証書で行います。公正証書は、作成料や印紙代などで費用が約2万円ほどかかります。
また、この任意後見人が、自分の責務をしっかりと果たすかどうかを、家庭裁判所が選任する任意後見監督人が監督します。この監督人が選任されて、初めて契約が発効することになります。
なお、任意後見人は、任意後見契約に定められた法律行為について、代理権を行使することができますが、同意見、取消権はありません。
また、任意後見人は契約により、任意後見監督人は家庭裁判所の決定により、本人の財産から報酬を得ることができます。財産額にもよりますが、合計で月5万円程度が目安とされています。

 

<任意後見制度の手続きの流れ>

任意後見制度を利用する場合、主な手続きは、公証役場での契約と、家庭裁判所での申し立てです。本人が元気なうちに、公証役場で支援する人と支援の内容を決めておいて、本人の判断能力が不十分となったら、家庭裁判所へ、支援する人を後見人とする申し立てをする、という流れになります。以下に、その流れをまとめてみます。

 

          任意後見人を選ぶ(基本的に本人が選ぶ)

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後見人と支援内容を決め、公証役場で公正証書を作成する(司法書士に委託しても可)

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 法務局で後見人と支援者の権限の内容を登記する(登記事項証明書が発行される)

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             本人に痴呆等の症状が発症

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   家庭裁判所に任意後見制度開始の申し立てをする(登記事項証明書を添付)

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 家庭裁判所で適格と判断されれば後見制度が開始、同時に任意後見人監督人を選任

 

<任意後見制度の現状>

任意後見制度への関心は、高齢者の間で着実に高まっています。契約の締結数は、成年後見制度ができた2000年には約800件でしたが、2015年には1万件を突破しました。これは、自分が元気なうちに行く末の心配を減らしておきたい、と思う人が増えているためと考えられます。

 

<任意後見人の役割>

任意後見制度では、原則として、自分が希望する人を後見人に選ぶことができます。さらに、どのように医療や介護を受けたいか、どんな施設に入りたいか、財産をどのように使って欲しいか、といった内容を、細かく契約に盛り込むことが可能です。

このため、今は未だ元気ですが、将来認知症になったら困るので、今のうちに所有しているアパートの管理等について明確にしておきたい、あるいは、医療や介護、施設入所などの面で自分の希望をかなえたい、などといった場合に有効な制度といえるでしょう。

 

<見守り契約>

一方、任意後見の契約を結ぶだけでは、不十分と思われることもあります。例えば、本人と後見人との連絡が途絶えがちになると、不幸にも本人の判断能力が衰えだしたとしても、後見人がそのことに気が付かない懸念も否定できません。

そのようなことを防ぐため、後見人が本人を定期的に訪問し、状況を把握できるよう、別途「見守り契約」を締結することが有効です。

 

<任意後見人に任せられること>

任意後見制度においては、後見人に付与する権限は、契約により本人が自由に選択できますが、以下に一般的な内容についてまとめてみます。

(財産管理)

・土地や建物など、財産の管理、保存、売却

・預金など、金融機関との取引や、保険の契約、保険金の受け取り

・年金や障害給付など、定期収入と公共料金など定期支出の管理

・生活必需品の購入や生活費の送金

・遺産分割や相続の承認、放棄、贈与

・登録済み権利証や実印、銀行印、預金通帳などの保管、使用

・税金の申告、納付、その他行政機関への申請

 

(身上監護)

医療機関への入院や介護施設への入所の契約

・自宅の購入、売却、増改築、修繕

 

<任意後見制度で懸念される事項>

任意後見人は、基本的には誰を選んでもかまいません。ただ、友人を選ぶと、万一不仲になったら大変でしょうし、家族から選ぶ場合は、相続問題と絡んで、人選によっては揉める原因の一つにもなりかねません。また、専門職に依頼する場合は、自分の希望をかなえられるという任意後見制度の最大の利点を活かすためには、何よりも信頼関係が重要になります。そのため、何度も話し合いを重ねてから契約する必要があるでしょう。

なお、財産の流用にも注意が必要です。本人の判断能力が低下しているのに、後見人が家庭裁判所に監督人の選任を申し立てず、本人が元気な時に締結した任意代理契約を悪用して、本人の財産を使い込むことも無いとは言い切れません。

契約発効後の不正は監督人が摘発できますが、契約発効前は、本人も後見人の行動には十分注意しなければなりません。事実、最近は年間1万件前後の任意契約が締結されているのに対し、実際に監督人が選任され、契約が発効しているのは約2,200件程度に留まっている、というデータもあります。この差は、本人が元気なため、と考えるのが一般的ではありますが、必ずしも後見人の不正が含まれていることを、否定できるものでもないからです。

 

既に本人の判断能力が衰えている場合に、家族らが家庭裁判所に申請する「法定後見制度」には、利用者の就業や公的資格などに対する制限が200以上もあり、その利用を躊躇する人が多いのが現実ですが、任意後見制度にはこうした制限がありません。本人が元気なうちから、長所を活かし、問題点も自覚しながら、資産の把握などの準備をしておくことが重要でしょう。

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相続診断士 ファイナンシャルプランナー BPOプランナー
 共生プランニング代表 佐藤 喜三男
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 栄養管理システム、ポイントシステム、他の企画開発
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