相続診断士の部屋

私たち相続診断士は、争う相族を減らし、円満な相続を普及する活動を実施しています。相続問題をタブー視せず、生前に家族で十分話し合い、円満に後世に想いを引き継いでいく社会創りのお手伝いをしています。その有効な方法の一つとして、笑顔相続ノートを推奨しています。

No.14 家族信託と遺言は何が違うの?

相続診断士・ファイナンシャルプランナーの佐藤です。14回目の今回は、家族信託と遺言の違いについて解説します。

 

本人の認知症対策や、自分の死後に残される家族を守るための制度として、最近新聞などでも取り上げられることが多くなってきた家族信託。遺言では対応できない範囲をカバーできる制度として注目されていますが、家族信託と遺言、どちらも本人が亡くなった後、指定する人物に財産(家族信託においては受益権)を引き継がせるための制度です。いったい何が違うのでしょう?

 

家族信託とは

家族信託は、財産の所有者である委託者が元気なうちに、その財産の名義だけを受託者である家族に移転し、その権利については、受益権としてそのまま受けとれる契約行為です。

 

遺言とは

遺言は、遺言者の死亡後、財産を誰にどのように分け与えるかを指定できる法律行為で、その方式により、自筆証書遺言、公正証書遺言、機密証書遺言に分類されます。

 

家族信託と遺言の違い

家族信託は、改正信託法に基づく契約行為であり、委託者(当初受益者)の死亡に伴う財産(受益権)の移動は、相続とは関係ありません。従って、遺産分割、被相続人の戸籍の収集などの手続きも必要ありません。名義が受託者のまま変わらず、受益者(財産を引き継ぐ人)の名前が変わるだけですので、金融機関の口座の名義変更や、不動産の登記なども不要です。

一方、遺言は民法に基づく法律行為であり、一連の相続手続きが必用なことはもちろん、財産の引き継ぎ先も自分の次の世代までしか指定できませんが、家族信託は設計次第で何代にも渡って指定できます。

また、家族信託は委託者と受託者による契約ですから、原則として一人で勝手に内容を変更することはできませんが、遺言は単独行為のため、何度でも書き換えることができます。ただし、家族信託契約後に、委託者が信託財産に対し別の内容を遺言で書いたとしても、信託財産の名義は既に受託者に変更されているため、その遺言は有効とはなりません。この意味においては、家族信託の方が法的には安定性があると言えるでしょう。

さらに、仮に遺留分減殺請求が認められたとしても、家族信託の場合、信託財産の名義は受託者のままですから、単に受益権の一部が遺留分権利者に移動するに過ぎず、遺言の場合のように、財産全体が共有物になってしまうリスクを回避できます。

 

まとめ

家族信託は、遺言だけでは不十分だった範囲もカバーできる画期的な制度には違いありません。しかし、決して万能とはいえません。例えば年金など、家族信託を設定した後で取得する財産もあるでしょうし、必ずしもすべての財産の対応ができる訳ではありません。

遺言や成年後見制度など、様々な対策の中での一つの選択肢として、あるいはこれらの方法を組み合わせて、最適な対策を検討すべきでしょう。

 

----------------------------------------------------------------------------------
*相続診断・対策、ライフプランニング
 資産・生活設計全般のサポート

 セミナー講師、ライティング

 

共生プランニング<Symbiosis Planning>

 相続診断士 ファイナンシャルプランナー

 代表 佐藤 喜三男


〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-34-5

      いちご東池袋ビル6F アントレサロン内

 携帯 :080(5450)6403

 E-mail:k.sato@kyouseiplanning.jp

 URL :http://kyouseiplanning.jp/souzoku/succession.htm

----------------------------------------------------------------------------------